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みかんを買う楽しみ

 小さい頃、おじいちゃんやおばあちゃんもいて家族が大勢だった頃は、冬になるとみかんは大きな箱で買ってきた。学校で友達同士、「昨日はごはんの後、みかん4つ食べた」と競ってたくさん食べたものだった。
 ダンナとふたりの今はさすがに昔のような大きな箱で買っても腐らせてしまうから、小分けで買う。本当は箱で買って「腐らせないように」と追われるように、ガンガン食べてみたいという気もするけれど(笑)。
 時間がなくてスーパーで買ってしまうことももちろんあるけど、みかんはなるべく八百屋さんか果物屋さんで買うようにしている。「みかん下さい。甘いの。」って言えるところ。できたら味見をさせてくれるとこころ(ちょっと前まで味見させてくれるところが多かったのに最近は全然ない)。店員さんがすすめてくれたものを素直に買って、家に帰ってからそそくさとまずはひとつ、「本当に甘いかな?」と味見をする。いつもどきどきする一時(笑)。
 よく野菜を買う産直八百屋さんではだいたい宇和のみかんと三ケ日のみかんがあって、「どっちがおいしい?」って聞いたら「宇和がおすすめ。味のバランスがいいみたいよ」と教えてくれた。「味のバランスがいい」ということは甘いけど、酸味もある、ってことか?(私はとにかく甘いのがいい)と思ったけど、素直におすすめの宇和のみかんを買った。正解!味が濃くて、甘みが濃い(心配してた酸味は大丈夫だった)。もう1袋買ってくればよかった~。
 自転車で行くK商店街の果物屋さん。店先にはいくつかの価格のみかんが置いてある。1ネット250円が売れ筋らしく、手に取りやすい位置にたくさん置いてあった。果物屋さんのおばさんに「これ、甘い?」と250円のみかんを指すと、「うん、よく売れてるよ」というから、「もう少し高くてもいいから甘いのがいい」というと「まあ、この250円のもそれなりにおいしいはずだよ。でも、味にこだわるんならこれかな?みかんはやっぱり値段だせばおいしいからね」と1山500円(量は250円のと同じかちょっと少なめで大玉)を指差した。これには私は悩んだ。みかんは高級なものを1個食べるよりは、惜しみなく2~3個食べたい。500円は私にはちょっと高級・・・。果物しか売っていない果物屋さん(しかもこの店は昔からある)なら安いものでもそれなりの味のものを置かないとお客様に離れられてしまうだろう、と思いをめぐらせ、結局売れ筋の250円のみかんを買った。結果は正解!小さめだけど、味が濃くて甘かった。もう1ネット買ってこなかったことが悔やまれた。
 一番好きなみかんのお店(八百屋さん)は自転車で行くところで、用事のついでに立ち寄る店。H駅前の商店街の中の活気のある八百屋さん。みかんのあたりにいつもいる前歯のない白髪のおじちゃん。最初の頃は店頭にある一番安い売れ筋みかんを買っていた。10個で250円、という売り方だ。「20個ちょうだい」と言って買って、家についてから数えると5個おまけしてくれていた。こういうおまけ、すごくうれしい!またあそこの店で買おうという気持ちになる。でも残念ながら、甘さの方はいまひとつだった。そして、次に通りかかった時に「みかんちょうだい、甘いのがほしい」とまた前歯のないおじさんに声を掛けた。「あいよ、甘いのなら、こっちだよ」と奥の1キロ380円のみかんをくれた。秤でみかんをはかったあと、おまけをパラパラっと追加してくれる心意気。帽子を目深にかぶっていた私だったけど、おじさんはみかんを私に渡しながら、「そんなに深くかぶってたら、美人が見えないよ」と言うので、少し帽子をあげて、「ありがと」とお礼をいうと、うれしそうににっこり笑ってくれた。おばちゃんは見え透いたうそでもいいから、「美人だよ」と言ってくれるととてもうれしくなるのです(笑)。みかんの横にあった食べ頃の色をした大振りのアボカドがあったので、「これもちょうだい」と言うと「食べごろの色してるだろ、いいよ、安くしとくよ」と50円引きしてくれた。おじちゃんのおすすめ、380円のみかんはとってもとってもおいしかった。
 こうして私のハートをがっちりつかんだ笑うと前歯のないおじちゃんは、こんなふうにいつ行ってもいくつかみかんをおまけしてくれたり、値引きをしてくれる。ちょっとした触れ合いや心遣いが心地よくうれしく、いつも買い物をした後やさしい気持ちになる。

 小さなお店のおじさんやおばさんとのやりとりはやっぱりスーパーにはない楽しみだし、八百屋さんも果物屋さんもお肉屋さんも魚屋さんも、スーパーと違ってそれしか売っていない専門店だ。効率優先、ブランド志向の今、こんな昔ながらの小さな店も、駅前や郊外の大型スーパーなどの大手に押されて持ちこたえることが出来ず、姿を消してきている。多くの消費者も仕事が忙しすぎて、こんな悠長な買い物はそうそうしていられないのが実情だと思う。でも、こういう小さな商店がなくなってしまったら、効率だけの世の中になってしまったら(すでになっているけど)、と思うと空恐ろしい。昔ながらのおじちゃん、おばちゃん、そしてその息子たちが営む庶民の暮らしに密着した小さな商店にも、がんばって生き残ってほしい。そのためには多少不便でも、多少高くても、意識して私たちが買い支えてあげないといけないと思う。私も普段の食材の大部分は生協で購入しているけれど、近所のお店もバランスよく使うように心掛けている(そういう私も、食品はまだこうやって意識して買えるけど、値が張る電化製品などはどうしても安い量販店やネットで買い物してしまっている)。
 ただみかんを買う楽しみを書くつもりだったのに、書いているうちにあれやこれや考えが進んで、思いがけず長くなってしまった。
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コメント

すんげえ長文、読むのがヤになった、というのは
ウソでちゃんと読んじゃった。
会話しながらの買い物っていいよね。押し付けがましく
薦められると困っちゃうけど、見栄みえのお世辞でも「おねえさん、今日はイカがいいよ」なんて言われるとねえ。でもイカはさばけないので買えませんが(苦笑)
みかんはナイフでむく必要がないのが、一番の魅力だね。
おまけしてくれるお店なんていいな!
私はいつもでっかい声で99円の合びきを900!とか言って肉屋で買い物をしています。

投稿: Chicago Guy | 2008年2月13日 (水) 17時20分

Chicago Guyさん
勢いで書いた長文、読んでくれてありがとう。
昔は相対で買い物するのが億劫で、スーパーの方がいい、と思っていた頃もありました。
やっぱり年かな(笑)。
みかんとかバナナは手間要らずで、ごはん作るのに手一杯の私にはありがたい果物です。
りんごに凝った時もあったけどね。
合挽き99円、安いね~。
900ってのも、家族って感じの重量でいい。
お母さんなんだね~。

投稿: ぽんすけ | 2008年2月13日 (水) 19時19分

商店街で買物できるのはいいね。
この辺はニュータウン以前の昔ながらの商店街はないから、団地の一階が店舗になっている棟が「商店街」。あとは駅ビルに入っている商店のいわゆる「○○名店街」。
その商店街も夕方5時過ぎにはほとんど店じまい、一番遅くまで開いている和菓子屋さん(宅配便受付や粗大ゴミのシールなども扱う地域の万屋さん的お店)でさえも7時には閉まるし、日曜は休みなので、利用したくてもほとんど機会がないの。
ミカンは専ら生協かスーパー。
ミカンはお弁当に1個持っていけるところがいいね。

投稿: ふくpi・おふう | 2008年2月13日 (水) 21時42分

力作!でも楽しく読みました。
うちのあたり、カゴもりの八百屋さんはかろうじてあるけど、オマケしてくれるような場所はないなあ・・・前に住んでた吉祥寺にはあったけど・・・となつかしくなりました。

雪国で、冬は家の中でも息が白い座敷のすみに置いてあったミカンの箱。なつかしい・・・!

投稿: kero | 2008年2月14日 (木) 11時55分

おふうさん
5時に店じまいは30年前ならいざ知らず、現代ではちょっと早すぎるよね~。
せっかく地元を利用したくても利用できないよね。
きっと経営者もおじいちゃん、おばあちゃんなんだろうね。
野菜、今日またダンナの実家が送ってくれるって。
見てくれはすごく悪いし、虫入りだけど(笑)、味が濃いの!
恵まれていると思います。


keroさん
昔はどこのおうちもみかん箱、ありましたよね。
「こたつでみかん」は冬のだんらんの最たるものでした。
味見させてくれる八百屋さん、本当になくなりました。
ずうずうしく、「味見できる?」って言えば、多分
させてくれるんでしょうが、その一言を言うのには
もう少し年季が必要です(笑)。

投稿: ぽんすけ | 2008年2月20日 (水) 10時50分

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