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海からの贈り物

「海からの贈り物」という本を読んだ。著者は20世紀の初頭に大西洋単独無着陸横断飛行をして名声を得たリンドバーグの夫人、アン・モロウ・リンドバーグ。海辺での小さな小屋で一人、2週間の休暇を過ごす中で、「生活、人生、人生を構成している仕事や人間関係のバランスなどを、もう一度ひとりで考えてみるために書き始めたもの」というエッセイである。書かれたのは1950年代ということで、少し過激な女性運動のニュアンスなど、現代には合わないところもあるけれど、この本に貫かれている哲学は少しも古びておらず、逆に当時よりはるかに煩雑な生活を生きなければならない現代でこそ大切にすべき思想が込められたエッセイだと思う。夫の成功、子どもたちの世話、自分の仕事など、忙しい毎日に疲れたリンドバーグ夫人の海辺での休暇。私の究極の理想(けれど、その域には絶対に達せない・・・)、「シンプルに生きる」ことに気持ちよさに癒される。
曰く「・・・どれだけ多くではなくて、どれだけ少ないもので暮らすか」
>「わたしの生活に、またひとつ何か・・・・・仕事であれ、何であれ・・・・・を加えたくなった時に「それはほんとうに必要なものか?」を自分に問いかける。
曰く「・・・わたしたちは結局、みな孤独である。ひとりでいるということを、もう一度はじめから学びなおさなくてはならない」
>「ひとりでいる時間は、一生のうちでもきわめて重要な時間である。ある種の原動力はわたしたちがひとりでいる時にだけ湧いてくる。芸術家は創造するために、作家は考えを深めるために、音楽家は作曲をするために、そして聖者は祈るために、ひとりにならなければならないことを知っている。そして女は、自分の本質をふたたび見つけ出すだめに、ひとりになる必要がある。いろいろな人間関係の欠くことのできない核になるような固い結び目は、そうやって見いだした自分というものであるのだから」
「・・・こういった飢えは、自分がなくてはならない存在であると感じるだけで、満たされるものではない。母乳が豊かに出るためには、栄養が必要であるように」

こんな充実した思いと、キッパリとした潔さが自分にできるかどうかははなはだ疑問だけど、こういう気持ちを少しでも自分の暮らしや意識に根付かせることができればいいな、と思った。

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コメント

人生の若い時期には欲しい!というよい意味での貪欲さがある程度ないと成長もできないと思うけれど、どこかで折り返して必要なものだけを残してそぎ落としていくことが必要だと書いている曽野綾子「中年以降」に通じる、成熟した女性のエッセイのようですねえ。

その言葉に感銘をうけてから早6年過ぎますが、ぜい肉をはじめとして余分なものを捨てるのはなかなか難しいなあ・・・。ぽんすけさんの言うように少しでも自分の暮らしや意識に根付かせていきたいものです。

投稿: kero | 2008年5月29日 (木) 16時44分

「ハンニバルライジング」からどどっと読書リストに
加えられましたね。
リンドバーグ夫人かあ。どんな人だったのでしょうか。
ひとりでいること、ひとりでいることの大切さ、それは
とてもわかる気がします。

西の魔女の映画、私もぽんちゃんの為にも試写会に
応募したけど、だめだったわ。
どんなお話かも知らず、梨木さんの本も1冊も読んだことはないのだけどね(笑)

投稿: Chicago Guy | 2008年5月29日 (木) 22時13分

keroさん、chicago-guyさん
まとめてですみません。
気がつけば私たちも折り返し地点なんですよね・・・。
人生の四季の中で、真夏は終わった気がしてます。
まだ秋、というにはさびしいので、晩夏くらいってことで(笑)。
この本でも「中年」について書かれた章があります。
>「たいていの人たちは、中年と呼ばれる年代になる前に、社会で自分の椅子を獲得しようとするか、その闘いをやめてしまうかのどちらかである。そうなると、暮らしとか家とか、さまざまな人間関係とか、物質的な豊かさだとか、貯め込むことなどへの強い執着は、自分や子どもたちがいきるために闘っていた時代ほど、必要でなくなるはずである。
>「中年という時代は、野心の貝や、各種の物質的な蓄積や所有欲の貝、エゴの貝などを、捨てるステージなのかもしれない。
 この年代に達してはじめてわたしたちは、海辺のシンプルな生活と同じように、虚栄心や間違った野心、仮面や鎧を捨てることができるだろう。わたしたちが鎧をつけていたのは、競争社会で、わたしたちを守るためだった。競争自体が不要になれば、鎧もまた必要ではなくなるはずだ。
 中年はだから、ほんとうの意味で自分自身であることができる年代なのかもしれない。なんと解放された気分だろう。」

引用が長くなりました。すてきな本なので、是非!(自分の本なら、お貸しするのですが、本はほとんど図書館で借りているので、すみません)。

リンドバーグ夫妻は、不幸にも長男が身代金狙いで誘拐され殺される(犯人はつかまり、死刑になりました)という悲劇も経験しました。その後5人の子どもを育てました。第二次世界大戦も彼女たちの暮らしに影を落とし、波乱の人生だったようです。

私は何より、贅肉を捨てたいんですけど(笑)。今月で仕事のめどをつけて、来月からまたジム通い再開します。
でもね、今読み始めたのがイタリアの「スローフード」の話で、「いいじゃないの、スリムにならなくたって」という悪魔のささやき(これは「スローフード」の本質から外れた読み方です・笑)が・・・(笑)

投稿: ぽんすけ | 2008年5月30日 (金) 14時33分

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