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古屋誠一「メモワール.」展

昨日で仕事のメドがたったので、行こうと思っていた写真展に行ってきた。

古屋誠一「メモワール.」(東京都写真美術館~7/19)
Photo 

東京都写真美術館では、1970 年代からヨーロッパを拠点に活動する古屋誠一の「メモワール.」展を開催いたします。古屋誠一は、1950 年静岡県に生まれ、1972 年に東京写真短期大学(現東京工芸大学)を卒業後、1973 年にシベリア経由でヨーロッパに向かい、1987 年以降はオーストリアのグラーツを拠点に精力的に作品制作を続けています。隣接する国々の国境地帯やベルリンの壁など、様々な「境界」を問う作品を発表する一方、オーストリアの写真批評誌『カメラ・オーストリア』では、創刊時から編集に参加し、日本の写真家をヨーロッパに紹介するなど、幅広い活動を展開しています。1985 年に東ベルリンで自ら命を絶った妻クリスティーネを撮影した写真集『Mémoires(メモワール)』では、家族が抱える闇や悲しみ、社会における生と死の問題を露呈し、国際的に高い評価を得ました。主な著作に、1980 年に滞在したアムステルダムからなる写真集『AMS』、『Seiichi Furuya Mémoires 1995』などがあり、2002 年には『Last Trip to Venice』により第27 回伊奈信男賞、2007 年には『Mémoires 1983』により第19 回写真の会賞を受賞のほか、国内外の展覧会に多数参加しています。近年は、妻クリスティーネの手記を掲載した写真集も制作し、現代社会における家族のあり方を問う写真家としても注目を集めています。

本展は、1989 年より20 年あまり発表し続けている「メモワール」の主題の集大成となる展覧会です。「彼女の死後、無秩序な記憶と記録が交差するさまざまな時間と空間を行きつ戻りつしながら探し求めていたはずの何かが、今見つかったからというのではなく、おぼろげながらも所詮なにも見つかりはしないのだという答えが見つかったのではないか」(2010年1月インタビューより)という古屋の思いは、ピリオドを打った展覧会タイトル「メモワール.」にも表れています。

事実と正面から向き合い、もう一人の自己を相手に、時間と空間を超えて生き続ける記憶を、蘇生させ編み直してきた古屋の制作活動。「写真とは心の奥深くに籠る“どうしようもない何か”と向き合い、さらにそれを表現の場へと引き上げることを可能にしてくれる素晴らしいメディアである」という古屋の表現の世界を、東京都写真美術館収蔵作品「Mémoires(メモワール)」シリーズを中心に124点で展覧します。また、古屋作品の真髄でもある写真集の編集過程を公開、古屋自らが編集・製本した未発表の自家版写真集も出品いたします。

(以上、写美ホームページより)

人もまばらの静まり返った会場。展示は彼女の遺影と位牌の写真から始まる。想像通り、とても重い写真たち。精神を病み、幼い我が子を残して自死した妻クリスティーネ。母子の表情を集めた「光明(息子の名前)」の展示エリアは出産から時系列に沿って、クリスティーネ一人の表情を追った「クリスティーネ」の展示エリアは、逆に、自死直前から古屋との出会いの頃まで、時を遡るように展示してあります。クリスティーネの表情の変化は、見ていて心をえぐられるようです。愛し合う夫婦であっても、家族や愛しい子どもがいても埋められない、心の闇と不安を突きつけられるからです。彼女と彼は国籍も違うもの同士なので、より複雑な緊張感もあったでしょう。これらの写真は、非常に個人的なものでありながら、とても普遍的な悲しみを感じます。夫の向けるレンズを見据える妻の表情は、狂気や不安に満ちているだけではなくて、狂気の合間に訪れる凪のような時間、穏やかで達観したような非常に深く美しい表情もあります。まだ病魔が彼女を壊し始める前、結婚式のために故郷の伊豆に帰国した時の、クリスティーネの穏やかで平和な笑顔がとても美しいです。
 とても辛い写真ですが、絵にはできない表現の世界です。

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コメント

仕事一段落したんですね。おつかれさま!
展覧会、ちょっと重くて静かな空気が流れていましたよね。
私が見にいったのは雨の日だったので、
よけいに鬱々とした気持ちになる気がしました。
たしかに・・・写真でしか表現が適わないものってあるんですね。

投稿: kero | 2010年7月16日 (金) 10時47分

keroさん
でっかいの、ようやく片付きました!!!!!
何だかすでに梅雨明け気分です(笑)。
でも、のど風邪ひいちゃった。
今は声が低くてセクスィーですよ(笑)。
写真展、心して行ったけど、想像以上に重かった・・・。
照明を落とした静かな会場で、二度三度と、観てまわりました。
グサリと心に染みいったです。
ああいう存分に思いをめぐらせ、観てまわれる展覧会に行っちゃうと、やっぱり激混みのオルセーどうしようかと悩みます。

投稿: ぽんすけ | 2010年7月16日 (金) 11時49分

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